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スペシャルトークショー 絆―次世代に伝える将棋の心― 夢を育む子供たちへのメッセージ

主催者メッセージ

トークショーにあたって

 今回、このような機会を得られたことをまずとても幸せに思っています。
 いつもタイトル戦で顔合わせをしている羽生さん・森内さん・佐藤さんのご好意、また主催の中野生活文化研究所の皆様はじめ多くの関係者の方のご協力に感謝申し上げます。

 「島研」―私の名前が冠していること自体、いまも不思議な気がしていますが、少し年長ということもあり周囲から呼ばれ続けているうちにそうなったのでしょう。 棋界を長年トップで走り続け、これからも保ち続けるであろう3人の優秀な後輩と出会えたことが、私の棋士人生でもっとも幸運なことだったと感じています。
棋界の至宝のみんなに巡り合え、刺激を得た若かった自分も思いがけずタイトルに手が届くこともありましたが、そんなことは宝物に気づいたときの幸福感に比べれば、些細(ささい)な出来事のようにさえ思います。
私自身、こういうことを考えること自体勝負師としてどうかと思うのですが、将棋だけ強い棋士には昔から興味がないのです。3人の秀逸な特性は、トップを長年維持し続けるためのストイックさ、そして「品性と含羞(がんしゅう)」を若いときから身につけ、より洗練していってる点だと思っています。この三つのキーワードは、およそいまのネット社会と携帯文化に代表される、責任のない情報・無軌道な行動や発言がまかり通る現代の猥雑(わいざつ)さとは、対極の位置にあるといってよいでしょう。今時、ストイックなどという言葉は、若者のなかには知らない人も多数いるのではないでしょうか。でも、どの分野でも最後の勝負どころで頑張れる境目は、自制できる時間を長く持った人だけではないかと古い考えで私は思います。

 棋士の中でも外交的な性格である私は、おかげさまで広くほかの分野の方にこれまでもお会いし、お付き合いさせていただいています。多くのいい影響をいただきましたが、それでもこれほど清潔感があり、きれいに生きている方々がトップにいる将棋界は、奇跡に近いほど恵まれているといつも思っています。

 長い付き合いになるメンバーですが、夕食をほとんど共にしたこともなければこういう機会は初めてでもあります。ご来場の皆様、特に子どもたちには3人から、強く優しく、そしてきれいに生きることを少しでも学んでいただければと思います。もちろん私も学びます(笑)。
どうぞ素敵なお時間を。

「日本人の心」を次世代へ

 家庭や地域社会において子どもを取り巻く環境・教育現場は刻々と変化しています。
社会環境の急速な少子化・核家族化・都市化・情報化などの変化が人間関係の希薄化を生じ、それによって家庭や地域社会における教育力の低下が指摘されています。
 子どもが成長し自立していく中では、実現や成功などのプラス体験はもとより、葛藤や挫折などのマイナス体験も含め、「心の原風景」となる多様な体験を経験することが不可欠だと考えます。
 東日本大震災の復興・先行きの不透明な世界経済など多くの問題を抱える日本。
今こそ、私たちは次世代に「心の原風景」を伝えていかなければなりません。
子どもたち一人一人が自分自身の夢を持ち、育む勇気を持ってもらいたいと思うのです。
 私たちは、「将棋」を家族・地域の絆を深める大切な“日本人の心”を教育体験できるものとして、様々な企画・活動に取り組んで参りました。
 「将棋」は相手と対峙し単なる勝敗を決める技だけでなく、その過程で「礼儀作法」「思考力」「集中力」「決断力」「判断力」「相手を思いやる心」など 生きる力の 基礎や生涯にわたる人間形成の基礎が培われる教育的な効果があると関心が高まっています。
 「将棋」は一人ではできません。家族・地域、多くの人との交わりがあって始めて“楽しみ”が生まれ、“学び”となり“絆”や“夢”が育まれます。
私たちは、「将棋」を通じ“日本人の心”を次世代に伝え続けたいと考えます。